あなたはセールスコピーを書くときに、複数のベネフィットを訴求するか、一つのベネフィットを訴求するか、迷ったことはありませんか?
セールスライティングの世界では、ベネフィット訴求が最も効果的な手法の一つとして知られています。しかし、どのベネフィットを前面に出すべきなのか、またいくつのベネフィットを伝えるべきなのか、この疑問に頭を抱えるマーケターやセールスライターは少なくありません。
もしかすると、あなたも同じような疑問を抱えたことがあるかもしれませんね。多くの場合、商品やサービスには様々なベネフィットがあり、それらを全て伝えたいと思う反面、「読者の興味を分散させてしまうのではないか?」という懸念も出てくるのではないでしょうか?
そこで、今回の記事では、「ベネフィット」をどのように扱えば良いのかについて、セールスライティングの書籍や教材でもあまり語られることのないポイントを解説していきます。
最後まで読んでいただければ、以下について理解が深まることでしょう。
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- ベネフィットを絞り込むことの重要性と有効性
- 主要ベネフィットの選び方
- 複数のベネフィットを効果的に組み合わせる方法
- セールスライター
- 2014年〜活動
- レター制作数100本以上
セールスコピーのベネフィット訴求とは
ベネフィット訴求は、商品やサービスが顧客に提供する具体的な利益や価値を中心にメッセージを伝える手法です。
セールスライティングといえば、ベネフィット訴求と思われることも多く、この訴求法は、実際に極めて高い有効性があります。
なぜなら、顧客が商品を購入する理由は、その商品そのものが欲しいのではなく、その商品がもたらしてくれる嬉しい未来や、現状の苦しみからの解放を実現したいからです。その本質的なポイントを訴求していく手法であるため、ベネフィット訴求は有効性が高いライティングなのです。
しかし、ここで問題が出てきます。
どんなベネフィットを訴求すれば良いのかという問題です。通常、商品やサービスには、複数のベネフィットがあるものだからです。
読者が混乱する「ベネフィットの乱用」問題
原則として、複数のベネフィットを盛り込みすぎると、読者はどれを最も重視すればいいのか迷ってしまいます。
例えば、ある新しい洗剤が開発されたとします。この洗剤のベネフィットは、他の多くの洗剤同様、汚れを落とし、清潔に保てるというものもあります。しかし、新しい成分が衣類の色落ちを防ぐというベネフィットもあるとします。
・・・この程度であれば、あなたも混乱はしないと思います。しかし、その後に以下のベネフィットが続いたらいかがでしょうか?
- 洗うだけで柔軟剤のような良い香りがつく
- 洗うほど繊維が丈夫になり、洋服が長持ちする
- どんなタイプの衣服にも使える万能さがある
- アレルギーや敏感肌の人にもやさしい
- 洋服に染みついた匂いもしっかり取れる
これらを同時にアピールされた場合、多くの人は混乱をしてしまいます。「結局、この商品は何をしてくれるんだ?」と疑問に感じてしまうわけです。複数のベネフィットを訴求することで、より魅力的なベネフィットが埋もれてしまうだけでなく、読者は理解できなくなってしまうのです。
魅力的な商品になる程、この洗剤の例のように、たくさんのベネフィットがあります。だからこそ、どのベネフィットを訴求すれば良いのか迷ってしまうセールスライターが非常に多くいます。
主要ベネフィットを決定する
そこで、セールスコピーを書く際には、主要なベネフィットを決める必要があります。
その際のポイントとしては、主要なベネフィットは、ターゲットの最も深刻な問題や願望に直結するものを選ぶことです。
例として、乾燥肌の人には「保湿力」を、年齢肌の悩みを持つ人には「エイジングケア」を主要ベネフィットとして前面に出すことが考えられます。
このように、ベネフィットを絞ることで、以下のようなメリットを得ることができます。
メッセージが届きやすくなる
消費者は情報過多の時代に生きており、多くのメッセージが同時に届く中で、シンプルでわかりやすいメッセージが印象に残りやすいとされています。1つのクリアなベネフィットに焦点を絞ることで、消費者の記憶に残る可能性が高まると考えられます。
より強く感情を動かせる
1つのベネフィットに焦点を絞ることで、そのベネフィットを深掘りしていくことができます。
その際、リアリティのある状況描写や、感情表現、読者が自分を重ねられる人物が登場するストーリーを出すことで、より、読者の心を刺激することができるのです。それにより、効果的なセールスコピーを構成することに繋がります。
差別化できる
市場には似たような商品やサービスがたくさんあります。
1つの特定のベネフィットに焦点を絞ることで、他の競合との違いを明確にし、消費者の選択の理由を提供することができます。
逆に言えば、複数のベネフィットをあれこれ訴求しても、一つ一つのポイントに対する、読者の理解が浅くなってしまうため、他の商品との違いが伝わりにくくなってしまう恐れがあるわけです。
このように、主要なベネフィットを決めることは、セールスライティングの基本とされているポイントとなります。
しかし、実際に売れているコピーは複数のベネフィットを訴求している
しかし、現実を見渡せば、世の中で売れているコピーは、ほぼその大半が、複数のベネフィットを訴求しているものばかりだと思います。
実際のところ、バナー画像など限られたサイズの広告文を除いて、一つのベネフィットのみを訴求している広告やプロモーションは、私は見たことがありません。
大抵は、「ベネフィットを一つに絞り込んでいます。でも補足的にベネフィットを追加しています。」というものばかり。それぞれ言い分はあるかもしれませんが、結局のところ、複数のベネフィットをアピールしているのが実情です。
では、なぜ、「ベネフィットを一つに絞れ」と言われるのでしょうか?その背景には、やはり、クリアなメッセージを伝えることで、ターゲットの注意を引きやすくし、「購入」や「登録」などの行動に導いていく効果があるためです。
特に情報の過多な時代において、単純明快なメッセージは非常に効果的です。読者は少しでもわからないことがあったり、「求めているものと違う」と感じると、すぐに読むのをやめてしまいます。
とはいえ、これらの理由が「1つのベネフィットだけを訴求すべき」という絶対的なルールを生むものではありません。実際のところ、多くの効果的なセールスコピーは、主要なベネフィットに焦点を当てつつも、補足的に他のベネフィットも触れているのです。
「1つのベネフィットに絞る」というアドバイスは、特に初心者のマーケターやセールスライターに対して、メッセージを散漫にしないように、また核心的なベネフィットを見失わないようにという意味で与えられることが多いです。
結局のところ、最も大切なのは読者にとっての「価値」を最大限に伝えることです。それが複数のベネフィットを列挙する形であれば、そうすべきなのです。
補足的ベネフィットの効果的な織り込み方
しかし、世の中の売れている広告やプロモーションが、複数のベネフィットを伝えているからといって、闇雲に複数のベネフィットを伝えることはおすすめしません。そのようなことをしても、良い結果を望むことはできないからです。
では、どのように、複数のベネフィットを伝えていけば良いのでしょうか?ここからはその視点やコツについて解説していきます。
1:主要ベネフィットを決める
まず最初に、軸となる主要ベネフィットを決めます。
これは、読者の中で、最大公約数的なもので、かつ、深い問題や悩みを選ぶことがポイントです。
これは見込み客や顧客のリサーチを行うことで、より正確な分析が可能になります。
例えば、「セールスライティングの講座」の場合、
- より早くコピーを描けるようになる
- 高品質で売れるコピーを書けるようにな
- クライアント獲得がスムーズにできるようになる
- ブレットの書き方をマスターできる
などのベネフィットが考えられます。
その際、1〜3については、ターゲットの多くが悩んでいるポイントと考えられます。しかし、4については、1〜3に比べると、少数派であり、悩みもそこまで深いものではないかもしれません。
なので、この場合には、商品やサービスの特性に合わせて、1〜3のどれかを主要ベネフィットとして選ぶべきでしょう。
2:補足的なベネフィットを組み込む
主要ベネフィットが決まったら、次に補足的なベネフィットをどのように組み込むか考えます。ここで重要なことは2点あります。
- 補足的なベネフィットも読者にとって価値があるものを選ぶこと。
- 主要ベネフィットとの関連性を明確にすること。
順番に説明します。
補足的なベネフィットも読者にとって価値があるものを選ぶこと
これについてはそのままかもしれません。補足的なベネフィットであっても、読者にとって、より大きな価値を感じられるものを絞り込んで訴求していくべきであるということです。
基本的に、訴求するベネフィットが増えれば増えるほど、読者は情報処理が大変になります。あまりに色々とアピールしてしまうと、「二兎を追うものは一兎も得ず」になりかねません。
だからこそ、読者にとってより魅力を感じられるベネフィットのみに絞り、補足的に伝えていくべきなのです。
主要ベネフィットをの関連性を明確にすること
主要なベネフィットと関連性を感じさせるほど、補足的なベネフィットは伝わりやすくなります。人間の脳は、関連性を感じられるものほど理解しやすく、ポジティブな感情になるという特徴を持っているからです。
逆に、関連性を感じられない場合、不快さやストレスを感じ、ネガティブに受け止められてしまうことがわかっています。
具体例を出してみましょう。
例えば、化粧水の主要ベネフィットが「深い保湿力」だとします。その補足的なベネフィットとして「肌のキメを整える」や「肌の弾力をアップさせる」を挙げることが考えられます。ここでのポイントは、これらの補足的なベネフィットが「深い保湿力」にどのように関連しているかを強調することです。
例えば、以下は主要ベネフィットとの関連性を意識しつつ、補足的なベネフィットを示した事例です。
このように、「深い保湿力」と関連性を持たせる形で、補足的なベネフィットを示すことで、より理解しやすくなるとともに、価値が伝わりやすくなります。
一方で、関連性を持たせない形で、複数のベネフィットを訴求した事例は以下です。
このような伝え方だと、「深い保湿力」「肌のキメが整う」「肌の弾力がアップする」、それぞれのベネフィットが関連性を持たず、わかりにくくなってしまいます。
ちょっとした伝え方の違いですが、「主要ベネフィットとの関連性がわかるように伝える」だけで、読者を混乱させることなく、有効な形でベネフィットを伝えることができるのです。
さらにもう一つ、複数のベネフィットを伝える有効な方法があるのでご紹介したいと思います。
ストーリーテリングでのベネフィットの伝え方
主要ベネフィットと、補足的なベネフィットを複数伝える上で、ストーリーテリングは、非常に強力なツールです。
読者が自分を重ねられる登場人物が、ベネフィットを実際に体験するシーンを描写することで、より深く理解し、共感してもらうことができるからです。
ここでストーリーテリングの解説や事例を示すと、それだけで一つの記事になってしまいます。なので避けますが、ストーリー形式で読者に想像させることで、さまざまなベネフィットを順番に、かつリアリティを持って感じてもらうことができます。
例えば、マーケティングの講座であれば、お客様のストーリーを交えながら、売り上げや利益の改善を主要ベネフィットした上で、補足的なベネフィットとして
- 人間関係
- 仕事
- 自分に対する自信
- 将来への安心感
- 仕事の効率アップ
など、さまざまなベネフィットを同時に伝えていくことができるわけです。ストーリーに絡めて伝えることで、読者を混乱させず、リアリティを伴って強力に感じてもらうことができるわけです。
そういう意味で、ストーリーテリングは、ベネフィット訴求をしていく上で、非常に強力なツールであるということです。
まとめ
ベネフィット訴求は、セールスライティングの基本中の基本。しかし、どのベネフィットをどのように伝えるかは、商品やサービス、そしてターゲットによって異なります。
「ベネフィットは一つに絞るべき」と言われるものの、実際に売れている広告、プロモーションでは、そのほとんどが複数のベネフィットを伝えているため、混乱を招きやすいテーマでもあります。
今回、解説したポイントを活かし、読者の心を掴むコピーを書いていただければ幸いです。
あなたの感想や、今回の記事を読んでみての疑問など、お気軽にコメントやメッセージをいただけたらと思います。
私が培ってきたセールスライティングの知識や経験をあなたのお役に立てることができれば、とても嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。